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シラバス

地理学教室で開かれる講義の要項を公開しました.ここに掲載されている内容は地理学教室の紹介を目的としたものであり,「履修案内」や「オンラインシラバス」に掲載されている内容とは一部異なる部分があります.

学部後期課程の講義 2年冬学期

科目名 地域分析Ⅰ
教員名 松原宏 開講期 2年冬学期
講義内容 地域分析の基本的テクニックを体得する.

文献・情報収集の技法,製図の技法,統計データの分析技法,フィールドワークの技法,レポート・論文の作成技法について,実習を行う.

人文地理分科進学予定の2年生を対象とする.

科目名 地域論
教員名 梶田真 開講期 2年冬学期(2010)
講義内容 「郊外」や「農村」といった形で,私たちは様々な地域を使い分けながら社会生活を営んでいます.けれども何が地域を定義づけているのでしょうか.また,地域はどのようにして生み出され,変化しているのでしょうか.本講義では,こうした問題について,具体的な事例を材料にしながら考えていきたいと思います.様々な角度から地域を/で考える視点を養ってもらえれば幸いです.

内容

  • 等質地域と機能地域
  • 都市と農村
  • 都心と郊外
  • 地域と境界(行政境)
  • 開発と地域形成 など
科目名 人文地理学演習I
教員名 荒井良雄 開講期 2年冬学期(2010)
講義内容 人文地理学野外実習Ⅰの準備として、対象地域に関する地域統計・地図・文献資料等による地域把握作業の実習を行う。原則として人文地理分科進学予定の2年生を対象とする。受講者は「人文地理学野外実習Ⅰ」を同時に受講すること。開講時に詳細な打ち合わせを行う。

内容

  1. 対象地域に関する文献調査
  2. 地域統計を用いた人口・産業等の地域把握
  3. 地形図等を用いた対象地域の詳細把握
  4. 各自テーマの選定・検討
  5. 野外実習行動計画の作成

学部後期課程の講義 3・4年夏学期

科目名 人文地理学基礎論
教員名 松原・荒井・永田・梶田 開講期 3年夏学期
講義内容 「人文地理学とはどのような学問だろうか?」といった問いから始め,地理学の学説史,人文地理学の基礎概念,方法論の基礎,日本や海外での人文地理学調査法といった内容について,講義を受けるとともに,議論をしていくことによって,人文地理学の基礎を学んでいく.

内容

  • 1 人文地理学とは?
  • 2 人文地理学学説史
  • 3 人文地理学の基礎概念(1)
  • 4 人文地理学の基礎概念(2)
  • 5 人文地理学の最新の議論(1)
  • 6 人文地理学の最新の議論(2)
  • 7 人文地理学の最新の議論(3)
  • 8 人文地理学調査法(日本)(1)
  • 9 人文地理学調査法(日本)(2)
  • 10 人文地理学調査法(日本)(3)
  • 11 人文地理学調査法(海外)(1)
  • 12 人文地理学調査法(海外)(2)
  • 13 人文地理学調査法(海外)(3)
  • 14 人文地理学の応用と課題
  • 15 まとめ

人文地理学教室の4人のスタッフが,順番に登場し,学生との問答形式で授業を進める.講義を聞くだけではなく,レポートを報告することもある.野外調査実習の報告書に関する論文指導をあわせて行う.

参考書

  • 浮田典良編『人文地理学総論』朝倉書店,1984年.
  • グールド,P.『現代地理学のフロンティア』地人書房,1994年.
  • ジョンストン,R.J.『現代地理学の潮流』地人書房,1997年.
  • 森川 洋『人文地理学の発展』古今書院, 2004年.
  • グールド,P.・ピッツ, F.『地理学の声』古今書院,2008年.
科目名 地図学
教員名 荒井良雄 開講期 3年夏学期
講義内容 大学院講義「人間の安全保障演習」と合併

目標

  1. 既存の地図(地形図,地勢図等)を利用するのに必要な基本的知識を身につけ,地形,地物,土地利用等に関する基本的な地図判読の技術を習得する.
  2. 適当な主題図を用いて,地理情報を適切に表現する技術を習得する.地図化に必要な地理情報の加工法,具体的な地図のドローイング技術の訓練を含む.
  3. コンピュータ・マッピングおよびGIS(地理情報システム)に関する基礎的な知識と技術を習得する.
  4. 以上の応用として地域調査の野外実習に向けた予備作業を行う.

内容

  1. 「地図を使う」
    • 1/25,000地形図等についての基本的な知識についての概説
    • 投影法の基礎知識についての概説
    • 地形図を用いた地図判読
  2. 「地図を作る」
    • 地理情報の地図化に関する基本的な理論の概説
    • 主題図の作成:ドットマップ,段階的円記号図,流線図,コロプレス図
    • 製図器具の使用法,基本的統計類についての知識と利用法
  3. 「地図を作らせる」
    • コンピュータ・マッピングとGISの基礎概念の概説
    • GISソフトの基本的操作
    • 主題図の作成
    • 大縮尺地図の作成
    • 空間分析
科目名 社会経済地理学Ⅱ
教員名 荒井良雄 開講期 3年夏学期
講義内容 戦後日本の国土計画

戦後のある時期,全国総合開発計画を基軸とする「地域開発」は世人の輝かしい希望であり,あるいは,厳しい批判の的であった.しかし,時代の流れとともに,かつてのコンセプトは風化し,単一の理念による「開発」がリアリティを失いつつある.この授業では,戦後日本における国土計画の興隆とその挫折,さらには変質といった経験を追うことによって,「国土」「地域」とは何であり,それを「開発」したり「維持」したりするための手だてはどうあるべきか,を考えてみたい.授業では,戦後初期の特定地域総合開発から,工業開発を軸とした一全総,新全総を経て,大きな転機を迎える三全総,民活路線の中で揺れ動いた四全総,最後の全総となった『国土のグランドデザイン』,さらには新しく策定された「国土形成計画」を扱う.

  • 1.全国総合開発法の制定と枠組み
  • 2.特定地域総合開発法と TVA
  • 3.「国土の均衡ある発展」と拠点開発方式(一全総の手法)
  • 4.交通ネットワークと大規模工業基地(二全総の手法)
  • 5.定住構想と定住圏(三全総の手法)
  • 6.多極分散型国土形成(四全総の手法)
  • 7.「国土のグランドデザイン」(「五全総」の国土像)
  • 8.国土計画体系の再構築と「国土形成計画」
  • 9.「地方の時代」―国家政策へのアンチテーゼ―
科目名 世界地誌Ⅰ
教員名 廣松悟 開講期 3年夏学期
講義内容 さまざまな地誌の構成方法のうちで,今期は特に都市,とりわけ近代都市の発達過程に焦点を当てた解説を主に試み,あわせてその方法論的含意や議論の射程,その学的意義などについても言及する.さしあたり合衆国の都市発展という長期の歴史過程を一応の対象とするが,カナダや中南米といった新大陸周辺地域の都市システムや個別都市の社会問題の位相を含めたさまざまな事例の再検討などを通じて,新大陸・近現代都市景観発達に関する総合的理解への一助としたい.

  1. 序論
    • 1地誌研究と都市研究/新大陸地誌との関係
  2. 北米都市誌(1)
    • 合衆国における都市群システムの発展プロセス
  3. 北米都市誌(2)
    • 合衆国都市内システムの発達プロセス①: 都市と郊外の分化
  4. 北米都市誌(3)
    • 合衆国都市内システムの発達プロセス②: インナーシティの生成とその変容
  5. 北米都市誌(4)
    • 個別都市の事例: シカゴ・LAなど
  6. 北米都市誌(5)
    • 辺地域(おもにカナダ及びメキシコ)の都市内外システムとの比較考察
  7. 近代都市発達と都市社会問題の諸位相
  8. 結論
    • 近代都市発達と地誌: 新大陸都市の特殊性と普遍性について
科目名 世界地誌Ⅱ
教員名 松原宏 開講期 3年夏学期
講義内容 ヨーロッパにおける経済危機、地域間格差、グローバル・ローカル関係の変容、都市再生や文化産業集積、地域イノベーションや地域政策などを取り上げ、ヨーロッパの重層的な地域スケールにおける地理的諸問題を議論したい。

板書と配布資料等を用いた講義とともに、受講者の関心にあわせて、文献・資料の報告・議論を交えながら、進めていく。

  • 1 イントロダクション:ヨーロッパの地域問題
  • 2 ヨーロッパにおける地域区分(1)
  • 3 ヨーロッパにおける地域区分(2)
  • 4 文献講読と議論(1)
  • 5 ヨーロッパにおける工業化の歴史
  • 6 ヨーロッパにおける工業地域の再編
  • 7 文献講読と議論(2)
  • 8 ヨーロッパにおける都市システムの変遷
  • 9 ヨーロッパにおける都市再生と文化産業集積
  • 10 文献講読と議論(3)
  • 11 EUの地域政策の展開
  • 12 EUにおける地域間格差
  • 13 ヨーロッパにおける経済危機と政策的課題
  • 14 文献講読と議論(4)
  • 15 まとめ
科目名 文化地理学
教員名 中俣均 開講期 3年夏学期
講義内容 文化景観の地理学

1920年代に合衆国において成立した「古典的文化地理学」、および1980年代に英語圏地理学界で大きな変貌を遂げた「新しい文化地理学」について、その各々の概要を紹介し、近年の人文地理学全般にわたる「空間論的転回」理解への導入を試みる。地理学および関連する周辺分野にも講義内容は及ぶであろう。

  • 1)イントロ:近代地理学の発生
  • 2)環境決定論の内容と問題点
  • 3)サウアーの「文化景観の形態学」
  • 4)バークレイ学派の成立
  • 5)日本版の文化生態学―列島の文化景観形成史
  • 6)景観概念の変遷
  • 7)8)主観の地理学
  • 9)風水論
  • 10)場所イメージ論
  • 11)文化概念の再考
  • 12)競われる空間―場所の意味
  • 13)伝統文化の創造
  • 14)イデオロギーとしての景観
  • 15)新しい文化地理学:まとめ

参考書

  • 高橋伸夫・田林明・小野寺淳・中川正(1995):『文化地理学入門』(東洋書林)
  • 中川正・森正人・神田孝治(2006):『文化地理学ガイダンス』
科目名 人文地理学演習Ⅱ
教員名 梶田 真 開講期 3年夏学期
講義内容 各種資料を利用した地域把握のためのスキルを習得すると共にフィールド調査における調査計画の策定および調査準備の手順を理解する.

人文地理学野外実習Ⅱの準備として,地域統計・地図・文献資料等による地域把握作業の実習を行います.受講者は「人文地理学野外実習Ⅱ」を同時に受講すること. 開講時に詳細な打ち合わせを行います.

地域統計・地図・文献資料等を利用した地域把握作業の実習を行い,野外実習での調査計画をまとめていくとともに調査準備を進めていきます.

科目名 人文地理学野外実習Ⅱ
教員名 梶田 真 開講期 3年夏学期
講義内容 地域調査の野外実習を通じて,現地調査のやり方(現地資料の収集,インタビュー調査など)を習得する.

人文地理学演習Ⅱで設計された調査計画に基づいて現地調査を行う.受講者の調査に際しては適宜,教員もしくは調査経験のあるTAが同行し,サポートを行う.毎日,夜にミーティングを行い,その日の調査について報告・議論を行う.受講者は最終的な調査結果をレポートにまとめ,内容・構成に関するコメントに基づいて修正を行い,報告書を作成する.

科目名 特別演習Ⅲ
教員名 各教員 開講期 4年夏学期
講義内容 分科主任を中心に,人文地理分科担当の教員全員により,卒業論文作成のための研究課題の設定,文献研究,統計データの処理,フィールドワークの実施方法,調査結果・分析結果や考察,卒業論文の構成などについて,受講者の報告にもとづいて,演習方式で指導する.

内容

  • 1 卒業論文の課題設定
  • 2 既存研究のサーヴェイ、研究の目的と方法
  • 3 統計データ等の既存情報の分析
  • 4 現地調査等の調査実施計画
  • 5 現地調査等のオリジナル情報の分析
  • 6 卒業論文の構成

学部後期課程の講義 3・4年冬学期

科目名 地域分析Ⅱ
教員名 梶田真 開講期 3年冬学期
講義内容 近年,様々な空間データが整備・提供されるようになり,これらを活用することによって,これまでよりも詳細な地域分析を容易に実施することが可能になりました.また,小地域統計(=市町村よりも小さな地域スケールの地域統計)の整備も急速に進んでいます.これらの統計は電子データとして提供されており,GIS(地理情報システム)での利用を前提としています.

地域分析Ⅱでは,地域分析Ⅰおよび地図学で学習した分析手法やスキルの習得を前提として,様々な空間データや小地域統計をGISで解析したり,こうしたデータと関係が深い地域分析の手法について実習を積み重ねていきます.卒業論文の作成に向けて,各種の空間データや小地域統計をフルに活用できるようになることが目標です.

→地域分析Ⅱの実習風景

科目名 都市地域論
教員名 松原宏 開講期
講義内容 都市地域に関する最近の話題を扱った文献を輪読し,議論する.取り上げる文献については,最初の授業時に相談の上,決定する.最初の回に,都市地域研究の最近の動向について解説し,2回目以降は,報告者を決めて,毎回文献を読んでいく.最後の回に全体のまとめの討論を行う.
科目名 世界地誌Ⅲ
教員名 小俣利男 開講期 3年冬学期
講義内容 ここでは,ソ連解体後移行期にあるロシア連邦を主たる検討対象とする.すなわち,その自然環境や人文活動の地域的展開を検討対象としつつ,多様性に富んだ国内諸地域の特徴もとりあげながら,ロシアの地域的把握を試みる.併せて地誌の可能性についても考えてみたい.

必要な資料を配布・提示しながら,講義形式を予定している.なお,受講者数によってその形式を変更することもある.

科目名 世界地誌Ⅳ
教員名 岡秀一 開講期 3年冬学期
講義内容 南アメリカの自然誌がテーマである.南アメリカ大陸は北緯10度付近から南緯55度付近にまで広がる.その太平洋側には6000m級の山々からなる長大なアンデス山脈が連なる.そのために熱帯雨林や砂漠,さらには氷河などが特徴ある配置となり,きわめてバラエティに富んだ自然環境がつくられる.講義ではこれらの成り立ちについての解説を行い,さらに自然と人々の生活との関わりについて言及する.資料はプリント配布,ビデオ・スライドなども活用の予定.
科目名 世界地誌Ⅴ
教員名 永田淳嗣 開講期 3年冬学期
講義内容 東南アジア島嶼部における生態・社会環境変化に対する理解を深める.特に,農業的資源利用の変化に注目し,自然環境や,多様な民族構成を含む社会・歴史環境との関わりに,幅広い考察を加える.東南アジアの生態環境の成り立ちに関する基礎的な知識を概説した上で,東南アジア島嶼部における生態・社会環境変化に関する具体的なトピックスを順次取り上げる.
科目名 自然環境論
教員名 茅根創 開講期
講義内容 近年の人間活動の増大により地球環境は大きな影響を受けつつある.生態系の維持や人間の生存の基盤そのものが危ぶまれている.現在の地球環境の実態を把握し,人間活動の影響を予測し,対策を正しく立案するためには,気候システムや物質循環など、地球システムを構成する重要な要素とそれらの相互の関連についてより深く理解することが必須である.こうした地球惑星環境学の視点から,以下の内容について講義する.
科目名 農村地域論
教員名 山本充 開講期 3年冬学期
講義内容 今日の農山村地域においては,高齢化の進展や農地の荒廃など様々な問題が生じていることが指摘されている.こうしたネガティブな側面がみられる一方で,農業に観光その他の就業を組み合わせることで農家世帯が安定して居住を継続させたり,都市からの人口流入によって農村の経済,社会,環境が維持されている例もみられる.ここでは,地理学の立場から,日欧における事例を中心に,現代農村における人口の質的変化,すなわち就業変化や人口流入ががどのように生じているのか,それが農村の持続性に寄与するのか,その実態と把握する方法を理解することを目的とする.

キーワード

農村,持続性,人口変動,ルーラル・ジェントリフィケーション,プルリアクティヴィティ,多機能化

内容

  1. 導入
    • 農村の定義と特質
    • 現代の農村像:都市・農村関係の変容
    • 農村地理学の課題と展望
  2. 農村における農業経営の変化と非農業部門の組み入れ
    • プルリアクティビティの現代的意義:小農・兼業との差異
    • プルリアクティビティの持続性
    • プルリアクティビティの類型とその成立条件
  3. 農村への人口流入とルーラル・ジェントリフィケーション
    • 郊外化の意義:スプロールか?
    • 農村居住の進展とその帰結:ルーラル・ジェントリフィケーション
    • 農村における多機能の立地:新しい農村像
  4. まとめ
    • 現代農村の多機能化:農村は持続的に存続し得るか?
科目名 地球環境論
教員名 松山洋 開講期
講義内容 「水循環と水収支」をキーワードに、全球規模から大陸スケール、さらに日本国内における観測例など、担当者がこれまでに実際に行なってきた研究を中心に紹介します。対象とする地域は熱帯から寒冷地域、また湿潤地域から半乾燥地域にまで及び、地球上の様々な地表面状態をカバーしています。この授業は系統的な内容にはなりませんが、基本的なことがらについてはその都度説明します。そして、この授業を受講することによって、「水循環と水収支」の研究の最前線を体感してほしいと思います。

世界各地や日本各地における「水循環と水収支」の基本的なことがらを理解することが、この授業の目的です。そのために、一方的に講義を行なうだけでなく、授業中に簡単な作業を課す予定です。また、ビデオやスライドを用いて視覚的な理解を深める予定です。

内容

  1. ガイダンスと全球水収支の概要(1): 水から見える地球の姿
  2. 全球水収支の概要(2): 気温と降水量による世界の地域差の把握
  3. アマゾン川流域の水収支: 熱帯雨林が水循環に与える影響は?
  4. コンゴ川流域の水収支: アフリカと南米の比較
  5. バルハシ湖流域の水収支: 人為的水利用の影響が大きい半乾燥地域の特徴は?
  6. ボルガ川流域の水収支: 積雪が水収支に与える影響は?
  7. 巻機山における積雪密度・積雪水当量の季節変化と高度分布: 既存の研究との関連は?
  8. 積雪指標を用いた積雪水当量・融雪量の推定: 黒部湖集水域を事例に
  9. 直接的方法と間接的方法による葉面積指数 (LAI) の推定: こんなにすごいぞ LAI!
  10. 水文・気象・衛星データを用いた阿蘇山周辺の流域水収支の再検討: 地下水と水循環の関係について
  11. 東京都内の湧水における長期間の水温変動について: 都市化・地球温暖化は湧水に影響を与えているか?
  12. 簡易型 differential GPS の開発と実用性の検討: 水蒸気を測る「GPS 気象学」に関連して
  13. ブラジル・パンタナールにおける熱帯湿原の持続的開発と環境保全: 安定同位体を用いた水循環の解析
  14. 試験
科目名 人文地理学
教員名 永田淳嗣 開講期
講義内容 人文地理学のアプローチの重要な特徴は、開発や環境,地域の問題を扱う際に、具体的な生態環境や空間的な位置、場の歴史性といった点に十分に配慮した研究枠組みを用意する点にある。そしてそうした研究を通じて、より望ましい人間の活動空間、広い意味での「国土」の創造に結びつくような知見を引き出すことを目標とする。こうした人文地理学のアプローチの可能性を、いくつかの具体的な研究例を通じて、受講者とともに考えていきたい。

世人文地理学の具体的な研究例を紹介すると共に,人文地理学及び関連分野の方法論の特徴を,理論的・実践的な観点から検討する.

授業は講義と演習を組み合わせた形で行い、授業期間中に適宜課題を課す.授業期間中に課される課題を、その都度確実にこなしていくことが単位取得の大前提となる。受講の際にはこの点を十分に考慮してもらいたい。

科目名 地理歴史科教育Ⅱ
教員名 井田仁康 開講期
講義内容 高等学校地理歴史科の特徴と目標、内容について概説し、地理歴史科にかかわる諸問題について考察を加え、教師としての見方・考え方を養い、地理歴史科についての洞察を深めることを目的とする。地理歴史科の学習目的を,学習指導要領などから読み解き,地理歴史科の学習とは何かを明らかにする。そのうえで,学習内容,学習方法,学習プロセスについて考察をすすめる。さらに、模擬授業などを取り入れ、受け身の授業だけでなく,自分から考えることを実践させる。

大学院の講義 夏学期

科目名 環境計画論Ⅲ
教員名 松原宏 開講期 修士課程夏学期
講義内容 経済地理学の理論に関する理解を深めるために,文献を輪読し,議論を行う.

本年度は,以下の文献を取り上げる予定.

Fornahl, D., Henn, S. and Menzel, M-P.(eds.)2011:Emerging Clusters:Theoretical, Empirical and Political Perspectives on the Initial Stage of Cluster Evolution, Edward Elgar.

毎回、各章の担当を決め,報告者のレジュメをもとに,文献の内容を理解するとともに,参加者全員のコメントを聞きながら,議論を行う.

これまで取り上げてきた文献は以下の通りである.

2005 Gertler, M.(2004):Manufacturing Culture. The institutional Geography of Industrial Practice, Oxford Univ. Press.
2006 Schoenberger, E.(1997):The Cultural Crisis of the Firm. Blackwell.
2007 Asheim, B.T., Cooke, P. and Marin, R. eds.(2006):Clusters and Regional Development: Critical reflections and explorations, Routledge.
2008 Karen R. Polenske ed. (2007):The Economic Geography of Innovation, Cambridge University Press.
2009 Christopherson, S. and Clark, J. (2007) Remaking Regional Economies : Power, Labor, and Firm Strategies in the Knowledge Economy, Routledge.
2010
  • Karlsson, C. ed. (2008) Handbook of Research on Innovation and Clusters
  • Edward Elgar.Karlsson, C. ed. (2008) Handbook of Research on Cluster Theory, Edward Elgar.
2011 Boschma, R. and Martin, R.eds.(2010) The Handbook of Evolutionary Economic Geography, Edward Elgar.
2012 Cooke, P. et.al.eds.(2011) Handbook of Regional Innovation and Growth, Edward Elgar.
科目名 人間環境論Ⅱ
教員名 永田淳嗣 開講期 修士課程夏学期
講義内容 現代社会における社会-生態システム変動

現代社会における社会変動と生態システム変化の複雑な関係を読み解くための,現場での現象理解に立脚した方法論・手法を受講者とともに探る.理論面とともに日本や東南アジアでの研究に基づく実践面からの検討を行う.主体的な問題意識を持ち,インテンシブな文献購読,濃密なディスカッション,十分に準備されたプレゼンテーションに意欲を持つものに受講を限る.

教科書

  • 社会科学のリサーチデザイン(2011)
  • 環境学の技法(~2010年)
科目名 人間の安全保障演習Ⅴ【人間の安全保障プログラム】
教員名 荒井良雄 開講期 修士課程夏学期
講義内容 学部講義「地図学」と合併

目標

  1. 既存の地図(地形図,地勢図等)を利用するのに必要な基本的知識を身につけ,地形,地物,土地利用等に関する基本的な地図判読の技術を習得する.
  2. 適当な主題図を用いて,地理情報を適切に表現する技術を習得する.地図化に必要な地理情報の加工法,具体的な地図のドローイング技術の訓練を含む.
  3. コンピュータ・マッピングおよびGIS(地理情報システム)に関する基礎的な知識と技術を習得する.
  4. 以上の応用として地域調査の野外実習に向けた予備作業を行う.

内容

  1. 「地図を使う」
    • 1/25,000地形図等についての基本的な知識についての概説
    • 投影法の基礎知識についての概説
    • 地形図を用いた地図判読
  2. 「地図を作る」
    • 地理情報の地図化に関する基本的な理論の概説
    • 主題図の作成:ドットマップ,段階的円記号図,流線図,コロプレス図
    • 製図器具の使用法,基本的統計類についての知識と利用法
  3. 「地図を作らせる」
    • コンピュータ・マッピングとGISの基礎概念の概説
    • GISソフトの基本的操作
    • 主題図の作成
    • 大縮尺地図の作成
    • 空間分析

大学院の講義 冬学期

科目名 広域システム科学特殊講義Ⅰ
教員名 永田淳嗣 他 開講期 修士課程冬学期
講義内容 開講時に指示する

以下は2009年度の内容


アジアにおける水環境問題:日本の経験の共有化の可能性

アジアの視点で水環境問題の共通性を認識し,解決のための経験や知恵を議論する.アジア諸国や日本でのフィールドワークから日本の水環境問題との対応を視野におく.予定しているテーマは,越境的海洋環境問題,南アジアの井戸水ヒ素汚染,メコン川の水資源利用,都市排水の衛生問題,森林・陸域の水,海洋保護と漁撈社会の生活など.

科目名 広域科学特殊講義I
教員名 松原宏 開講期 修士課程冬学期
講義内容 都市地域に関する最近の話題を扱った文献を輪読し,議論する.取り上げる文献については,最初の授業時に相談の上,決定する.最初の回に,都市地域研究の最近の動向について解説し,2回目以降は,報告者を決めて,毎回文献を読んでいく.最後の回に全体のまとめの討論を行う.

これまで取り上げてきた文献は以下の通りである.

2007 加藤政洋・大城直樹編『都市空間の地理学』ミネルヴァ書房.
科目名 環境計画論IV
教員名 荒井良雄 開講期 修士課程冬学期
講義内容 人口,流通,情報等と地域・都市空間の再編に関する内外の文献を購読し,検討する.具体的な文献や授業の進め方については,開講時に相談の上,決定する.最初の回に,購読の分担を相談し,報告のスゲジュールを確定する.各回,2~3名に分担した文献の内容を報告してもらい,全員で討論を行う.

これまで取り上げてきた文献は以下の通りである.

2005 Leinbach and Brun.(2001):Worlds of E-Commerce: Economic, Geographical and Social Dimensions, John Wiley & Sons Inc.
2007 Saxenian,A.(2006):The New Argonauts: Regional Advantage in a Global Economy, Harvard Univ Pr.
科目名 人間環境論Ⅲ
教員名 梶田真 開講期 修士課程冬学期
講義内容 現代人文地理学のフロンティア

各受講者の関心分野に関する近年の研究論文をピックアップし,当該論文の紹介・報告を行い,受講者全員で内容を議論します.できるだけ幅広い文献に触れたいと思いますので,1回の発表で少なくとも3本ぐらいの論文について報告してもらいたいと思います.

1巡目の報告で展望論文・総説的なものの紹介・報告をしてもらい,2巡目以降の報告では,1巡目で報告した論文を参考として,関心のあるものを中心に論文を読み進めていき,その内容を紹介・報告してもらいます.授業期間を通じて,各受講者の関心分野に関する研究動向の全体像がある程度把握できればと思います.また,本講義での報告・議論内容を踏まえて,学期末に当該分野の研究動向の展望に関するレポートの提出を求めます.

担当者は取り上げた論文についてのレジュメを作成し,その報告内容を踏まえて,受講者全員で議論します.

科目名 サステナビリティの戦略Ⅱ【人間の安全保障プログラム】
教員名 永田淳嗣 開講期 修士課程冬学期
講義内容 現代社会における社会-生態システム変動

現代社会における社会変動と生態システムの複雑な関係を読み解くための,現場での現象理解に立脚した方法論・手法を受講者とともに探る.理論面とともに日本や東南アジアでの研究に基づく実践面からの検討を行う.主体的な問題意識を持ち,インテンシブな文献購読,濃厚なディスカッション,十分に準備されたプレゼンテーションに意欲を持つものに受講を限る.

これまでに開講された講義

科目名 社会経済地理学
教員名 松原宏 開講期
講義内容 経済地理学の理論と実態に関する基本的な文献を輪読し,議論する.採り上げる文献については,最初の授業時に相談の上,決定する.各回,報告担当者を決め,文献内容についての報告・質疑・討論を行う.受講者は毎回,事前に文献を読み,質問票をメールで提出する.
科目名 社会経済地理学Ⅱ
教員名 荒井良雄 開講期 3年夏学期(2010)
講義内容 時間と都市空間の地理学:時間地理学入門

社会地理学の一分野である時間地理学の入門的授業を行う.時間地理学は1970年代にスウェーデンを中心として発展した研究分野で,特に,都市地域の中での人間の活動を時間軸と空間軸を交錯させながら考察する.授業では,時間地理学の基礎概念を土台に,現代都市における生活空間の諸問題を,ジェンダーや少子高齢化などと関連づけながら実証的に論じる.日本都市と欧米や中国都市との比較分析を含めながら議論を進める.

  • 1 時間地理学の基礎概念
  • 2 都市における生活活動空間の基本構造
  • 3 家族の生活活動とライフステージ
  • 4 女子就業と保育
  • 5 農村の時間地理学
  • 6 中国都市の時間地理学

参考書

  • 荒井ほか編『生活の空間 都市の時間』古今書院
  • 荒井ほか著『都市の空間と時間』古今書院
  • 荒井ほか著『中国都市の生活空間』ナカニシヤ出版
科目名 人口論
教員名 大江守之 開講期 3年夏学期(2010)
講義内容 我が国もとうとう人口減少期に突入した.国際人口移動が小さいわが国では,人口減少は死亡が出生を上回ることによって起こる.また,ほとんど過去の出生と死亡の履歴によって現在の年齢構造が決定されている.われわれは今,急速に高齢化が進展する状況の中にいるが,これは85〜55年前に起きた「人口転換」の結果であり,今世紀半ばまで一貫して続くこの状況はもはや避けようがない.予想以上に進行している少子化と呼ばれる出生率の低下は,現在進行中の高齢化を加速させるものであるが,より深刻な影響はさらに遠い将来に訪れる.高齢化も含めた年齢構造の変化は,家族形成の規定的条件を変化させ,少子化の背景にある晩婚化・非婚化とあいまって,家族構造を大きく変化させる.これに人口移動が加わって,地域別に異なった人口・家族構造が出現する.本講義では,出生,死亡,年齢構造,人口分布,世帯と家族などを分析するための基本的概念や方法を学び,人口変動のメカニズムに対する認識を深めるとともに,それを通じて社会あるいは都市をみる一つの視点を獲得することをめざす.

  • 第1回 我が国の人口の現状
  • 第2回 人口分析の基礎
  • 第3回 死亡と生命表
  • 第4回 出生
  • 第5回 少子化:出生力変動
  • 第6回 少子化の原因
  • 第7回 人口構造と人口推計
  • 第8回 家族と世帯
  • 第9回 世帯の変動と推計
  • 第10回 人口移動と人口分布
  • 第11回 地域人口の将来
  • 第12回 小地域人口分析とGIS
  • 第13回 まとめ:人口学的視点と少子高齢化・人口減少社会
科目名 歴史地理学
教員名 小野寺淳 開講期 3年夏学期(2010)
講義内容 歴史地理学は現代の歴史的事象を理解する上で不可欠な歴史的プロセスを解明する研究である.幅広い研究内容を含むが,その多くの研究で古地図が活用される.古地図に描かれた過去の景観を読み解き,また現代の景観への変化を考えてみよう.前半は,古地図の種類別に概要を,それぞれの古地図を用いた主要な研究例をもとに講義する.後半は,江戸幕府撰国絵図をもとに最新の古地図研究の方法を提示する.江戸幕府撰国絵図とは,幕府が諸大名に作成を命じた国単位の絵図であり,いわば江戸時代の国土基本図である.

  1. シラバスの説明,歴史地理学への導入
  2. 歴史地理学と古地図
  3. 古地図の種類とその理解Ⅰ(荘園絵図)
  4. 古地図の種類とその理解Ⅱ(城下絵図)
  5. 古地図の種類とその理解Ⅲ(道中図と宿割図)
  6. 古地図の種類とその理解Ⅳ(河川絵図)
  7. 古地図の種類とその理解Ⅴ(村絵図)
  8. 古地図の種類とその理解Ⅵ(切絵図・地籍図)
  9. 江戸幕府撰国絵図(概論)
  10. ~15. 国絵図の史料論(調査法を含む)
科目名 人文地理学演習Ⅱ
教員名 梶田真 開講期 3年夏学期(2010)
講義内容 各種資料を利用した地域把握のためのスキルを習得すると共にフィールド調査における調査計画の策定および調査準備の手順を紹介する.

人文地理学野外実習Ⅱの準備として,地域統計・地図・文献資料等による地域把握作業の実習を行います.受講者は「人文地理学野外実習Ⅱ」を同時に受講すること.開校時に詳細な打ち合わせを行います.

科目名 人文地理学野外実習Ⅱ
教員名 梶田真 開講期 3年夏学期(2010)
講義内容 地域調査の野外実習を通じて,現地調査のやり方(現地資料の収集,インタビュー調査など)を習得する

人文地理学演習Ⅱで設計された調査計画に基づいて現地調査を行う.受講者の調査に際しては適宜,教員もしくは調査経験のあるTAが同行し,サポートを行う.毎日,夜にミーティングを行い,その日の調査について報告・議論を行う.受講者は最終的な調査結果をレポートにまとめ,内容・構成に関するコメントに基づいて修正を行い,報告書を作成する.

科目名 広域システム科学特別講義I
教員名 中澤高志 開講期 集中講義(2014)
講義内容 経済地理学




本講義では、1990年代以降、経済地理学の下位分野として有力な流れの一つに育ってきた「労働の地理学」に関する内容を中心に、講師が最近関心を持っている内容(一部、都市地理学的な内容を含む可能性がある)を中心に講義する。さらに、2013年度経済地理学会大会のテーマであった「経済地理学の本質」について、受講者と議論ができればと考えている。



集中講義であるため、柔軟に時間を区切りたい。参考までに、本講義が依拠する著書の章立てを示しておく。
第1章 「労働の地理学」と労働市場の媒介項
第2章 現代の労働市場をめぐる諸概念と「労働の地理学」
第3章 地域労働市場における高卒者の職業経験と専門高校の役割
第4章 ジョブカフェによる若年不安定就労者支援の限界
第5章 子育て期の女性に対するNPO法人による在宅就業の推進
第6章 間接雇用の展開と金融危機に伴う雇用調整の顛末
第7章 自治体の緊急相談窓口利用者にみる間接雇用労働者の不安定性
第8章 日本人女性の現地採用労働市場の拡大とその背景
第9章 スキル・エコシステムの概念とキャリア開発
科目名 広域システム科学特別講義III
教員名 西野寿章 開講期 集中講義(2013)
講義内容 持続的な山村振興への地域政策的研究




本講は,過疎化,高齢化が著しい山村地域の今日的状況が生み出された社会経済的要因を歴史的に分析しながら,地理学の応用研究としての地域政策研究への視点について講じる。山村地域は,木材供給基地としての役割を持つ一方,都市部への水資源供給地域としての役割を持ち,国土保全に大きく寄与してきた。しかし,1980年以降,外材が木材市場を席巻したことにより木材自給率は低迷し,木材供給基地としての役割も果たせず,限界化が進行している。こうした山村への行政投資を疑問視する研究者も現れているが,山村に固有の産業としての林業の持続の必要性,林業活動を補完する山間地域農業のあり方,3.11以降注目されるようになったバイオマスも含めた再生可能エネルギーの活用も含め,これからの山村の地域的役割とその役割を引き出すための政策的視点について考えたい。



①戦後における山村地域の歴史的変遷
②21世紀初頭の日本の山村の現状とその類型
③今日の山村問題の構造とその要因
④山村振興史と今日的限界
⑤山村振興事例とその基盤分析
⑥山村振興への地域政策的視点とその検討
科目名 広域システム科学特別講義Ⅱ
教員名 水野真彦 開講期 集中講義(2012)
講義内容 知識に関する経済地理学的研究

経済地理学における近年の議論を知識をキー概念に整理・理解する

近年の経済地理学の動向から,以下のようなトピックを取りあげる予定です。

  • 生産のネットワークと知識
  • 取引における知識移転と近接性
  • 認知的近接性と地理的近接性
  • 知識創造と多様性
  • 知識創造と制度的・組織的近接性

参考書:水野真彦『イノベーションの経済空間』京都大学学術出版会

科目名 広域システム科学特別講義Ⅴ
教員名 谷謙二 開講期 集中講義(2011)
講義内容 大都市圏の形成と変容

大正期以降の日本の大都市圏の変容について論じる。

  1. 近年の大都市圏における通勤流動の変化
  2. 人口移動の変化と大都市圏
  3. 多産少死世代と郊外第一世代のライフコース
  4. 戦前と戦後の大都市の差異
  5. 都市の戦時体制
科目名 広域システム科学特別講義Ⅰ
教員名 田林明 開講期 集中講義(2010)
講義内容 現代の農業・農村を地理学的視点から考える

現代の農業・農村地域の性格と構造を地理学的視点から解明する手順と方法について、主として日本の事例を用いて説明する。具体的には、農業の基盤としての農業水利、農村の就業構造、農業・農村の持続的発展、農村空間の商品などの課題を取り上げる。

  1. 農業・農村地理学の内容と方法
  2. 農業水利の地域差とその意味
  3. 農村における就業構造の変化と地域差
  4. 農業・農村の持続的発展の可能性
  5. 農村空間の商品化
科目名 広域システム科学特別講義Ⅲ
教員名 山崎孝史 開講期 集中講義(2009)
講義内容 政治地理学の理論と方法論

日本における政治地理学は戦後の長きにわたって「不毛」の分野でした.本講義では,1980年代以降活発化した英米の政治地理学の理論的・概念的展開とその日本での受容と,政治地理学方法論の特徴について,内外論文の読解とその内容に関する講述と討議を通して理解し,沖縄をはじめとする事例をもとに実証的研究の可能性を探ります.本講義がこのような構成をとるのは,日本の人文地理学では,研究対象とされる事象が地理的なアプローチでなじむか否かが,理論的に十分吟味されることなく,ミクロスケールのモノグラフ的「実証」研究が反復される傾向が強いと考えられるからです.加えて,そうした研究の価値をより大きな社会的文脈の中で検討する態度も日本の人文地理学には往々にして希薄であるように思えます.政治地理学はテーマが政治であるだけに,取り組む研究の「社会性」には配慮する必要があるでしょう.

  1. 政治地理学展望:政治地理学で何ができるか
  2. 地政学:地政学批判と「新しい地政学」
  3. 場所:場所の概念と概念援用の問題点
  4. 領域:領域性とその政治的概念化
  5. スケール:地理的スケールとマルチスケールの視角
  6. 政治的選好表明:公役選択・選挙・社会活動
  7. 事例研究:沖縄のフィールドから
  8. まとめ
科目名 広域システム科学特殊講義Ⅲ
教員名 長尾謙吉 開講期 集中講義(2008)
講義内容 グローバル・ローカライゼーションの経済地理学

経済活動のグローバル化が進んでいるが,世界規模で標準化が進み「地理の終焉」を迎えている訳ではない.経済地理学の視点からグローバルに働く諸力とともに国家やそれより狭域のスケールで働く諸力を踏まえ,企業立地,組織間関係,都市・地域経済発展を考えていきたい.以下のような順序で講義を進める.

  1. グローバル・ローカライゼーションとは?
  2. 組織・技術.領域の「三位一体」論と現実:テレビ生産の事例
  3. 北米における自動車生産とローカライゼーション
  4. 発展途上国の発展経路と生産体制
  5. 「グローバル都市—地域」の理論と実際
科目名 人間環境論Ⅰ
教員名 梶田真 開講期 修士課程冬学期(2007)
講義内容 農村地理学(Rural Geography)は1970年代以降に発展した研究分野であり,先進諸国を中心として伝統的な農村像では捉えきれなくなってきた農村の政治・経済・社会・文化のありようを多様なアプローチによって理解しようと試みてきました.この授業では,2005年に刊行された農村地理学の教科書Wood, M. 2005. Rural Geography: Processes, Responses and Experiences in Rural Restructuring. London: Sage. を輪読形式で読み進めながら,農村地理学の研究動向を展望していきたいと思います.章数(22章)が多いので,担当箇所は受講者の関心にあわせて決定したいと思います.
科目名 広域システム科学特別講義Ⅰ
教員名 小野寺淳 開講期 集中講義(2007)
講義内容 「中国における経済発展と地域変容」

現代中国における地域変容のメカニズムを,香港,四川,上海などにおけるいくつかの事例研究を通じて考察する.

科目名 人間環境論Ⅲ
教員名 谷内達 開講期 修士課程(2006)
講義内容 オーストラリアの環境問題に関する連邦政府の報告書を読みながら,環境問題と社会・経済との関係について考える.資料は教室で配布する.評価は平常点及び成果物による.
科目名 広域システム科学特別講義Ⅱ
教員名 丸山浩明 開講期 集中講義(2006)
講義内容 この講義では,最初にラテンアメリカの地域耕造や自然・経済・社会的特徴を概説した上で,険峻なアンデス山脈,長大なアマゾン川流域,脆弱な熱帯湿原のパンタナールを事例に,伝統的な住民の文化・生活様式や,無秩序な開発に起因する環境・社会問題,持続可能な開発に向けた人々の取り組みなどを解説する.なお,受講希望者は各自地図帳を用意すること.
科目名 広域システム科学特別講義Ⅱ
教員名 箸本健二 開講期 集中講義(2005)
講義内容 近年,中心市街地活性化,村おこし,地場産品の販路拡大など,地域経済の活性化を進める際に,マーケティングにおけるブランド・マネジメントの手法を活用するケースが増えつつある.本講義では,ブランド・マネジメント戦略の基本概念を整理するとともに,いくつかの具体的な「地域ブランド戦略」を採り上げ,地理学の視点から評価・検討したい.具体的な講義内容は以下の通りである.

  • ブランド・マネジメント戦略の基本概念
  • 地域間競争と資源
  • ブランド・マネジメントの地域経済への援用
  • 地域ブランド戦略の効果と限界

なお,特定の教科書は使用しない.参考書は随時指示する.