応用地理情報分析

応用地理情報分析は,地理情報システム(GIS)を用いた主題図作成および解析の技能を高めるための実習です.地理・空間コースの3年生の必修である地理情報分析基礎Ⅱで習得した基礎的なGISの能力を前提として,より実践的に地理空間情報と空間解析に取り組みます.

実習は人文地理学教室・機器室で行われます.教員による地理空間情報に関する講義や技能の実習と,履修者自身が決めた主題に沿った担当教員・TAによる個別指導により,発展的な地理空間情報の処理や表現を身につけます.

実習を通じて地理情報分析の技能を高めるだけでなく,データの入手や処理,適した解析方法,考察についてより具体的かつ専門的に訓練を積むことになります.

以下は過去の履修者の成果物の一部です.

道路ネットワーク分析の実習:世田谷区の駅到達圏とカレー店立地

  • 共通の実習として道路網のデータを用いた到達圏や最近隣施設の検出を行う年もあります.
発展的な地理空間解析:標高データと道路データの組み合わせによる傾斜率の推定

  • 令和2年国勢調査,国土数値情報による
  • 履修者の関心に応じて教員・TAとともに個別に解析方法や考察の方向性を検討します.
表現の工夫:鉄道路線利用と目的地(2015)

  • 平成27年国勢調査,国土数値情報,第12回大都市交通センサスによる
  • 図表についてもより適切で理解しやすい表現を共に考えます.

 

地理情報分析基礎II

地理情報分析基礎IIは,地理情報分析基礎I(2年Aセメスター)に続く,主題図作成および地域分析のスキル習得のための実習になります.

地理情報分析基礎IIの目標は

  • 一般的な人文地理学の学術論文で使われている水準の主題図・図版を自力で作成できるようになること
  • こうした論文で用いられている標準的な解析手法の分析結果を理解し,自分で解析を行えるようになること
  • 様々な形で提供されている地理データや小地域統計の資料の所在・利用法を理解し,各自の関心にあわせて必要なデータを収集・解析することができるようになること

の3点です.


実習風景(人文地理学教室・機器室)

実習は人文地理学教室・機器室で行われ,教員とTAによる説明を聞き,作業のデモンストレーションを見ながら,各自で課題に取り組みます.

毎回,課題が出され,積み上げ式によりその内容は次第に高度なものとなっていきますが,少人数での実習と教員・TAによるマンツーマンの指導によって順次スキルを習得していきます.

以下は主な課題の内容です.

3回目の課題

グラフィックソフトによる地域概況図の作成

4回目の課題

国勢調査・町丁字データの利用と可視化

5回目の課題

メッシュ統計の利用と可視化

6回目の課題

GPSによるポイントデータの取得と可視化

8回目の課題の作業途中画面

アドレスマッチング及び基本単位区データを用いた商圏分析

9回目の課題

因子生態分析

最終レポートの作成では,地域分析Ⅱで習得したスキルを使って,各自の関心のあるテーマに即して統計データや地理データを収集・分析し,レポートをまとめます.

Kさんのレポート(2009年度)より H君のレポート(2009年度)より

地理情報分析基礎Iの内容を踏まえて,地理情報分析基礎IIの授業で学んだ分析手法やスキルを活用できるようになれば,研究者としてやっていくための「必要最小限の」スキルを習得したといえます.

ただし,こうした手法やスキルを活用していくためには,経験を積んで作業や分析に熟達していくことが不可欠であることは言うまでもありません.